林業が抱える課題

森林の資産価値の見直し

放置林が発生する要因の一つとして、「森林の資産価値がよくわからない」というものがあります。森が有する機能をしっかりと認識・把握し、資産価値の見える化を実現することも課題の一つとなっています。

日本の木の半分が伐採適齢期

日本の70%程度は森林であるといわれており、そのうち半分は伐採適齢期を迎えています。しかし管理が行き届いておらず、適齢期に伐採されることなく放置林となってしまい、再造林も進まないという悪循環が発生しています。

安価な輸入木材の台頭

我が国日本においては高度経済成長期に輸入木材の関税が無くなっており、今日に至るまで国産材の競争力が低下した状態となっています。足許では輸入材木の価格上昇による影響で国産材需要の上昇が見られますが、これらの国際的な環境変化への対応も求められます。

労働力不足・後継者不足

林業の担い手についても少子高齢化の影響が及んでおり、若者が都市部へ流出し林業人口は減少傾向にあります。親族間承継も少なくなっており、今後はM&Aへの積極性も求められることになるでしょう。

放置林問題

放置林の多くは私有地であり、中には相続登記がされていない所有者不明の土地も多くあります。地方の過疎化などさまざまな要因が考えられますが、今後は行政としても何らかの対応が必要になってくるでしょう。

スマート林業

生産性・安全性の向上

林業にITを導入することでさまざまな要素の可視化を実現することができ、今までは人力で行っていた危険な作業を機械化することで事故発生リスクを回避することも期待できます。さらに人員不足により個人にかかる負担が大きくなると業務上の災害リスクも大きくなってしまいますが、DX化に取り組むことでこれらのリスクを抑制することも可能になるでしょう。

効率化による人員コスト削減

DX化を進めることのメリットは安全性を確保できるだけではなく、人手がかからなくなる分だけ人員コストを抑えることも可能になります。人員コストを削減できるとその分利益率がよくなりますから、林業経営としても経済的に安定することで事業継続がしやすくなるでしょう。

林業のDX化

ドローンやIoTハーベスタを導入し、撮影データからの自動把握や伐採時に丸太の堆積を自動的に把握することなどができるます。「森林の見える化」によって効率的で信頼性が高い施業提案を実現する体制の構築を目標としています。

航空レーザやドローンを活用して詳細な測量を行うことで森林管理や調査労務の低減、GISシステムへのデータ取り込みにより高度な木材生産計画の策定ができるようになります。また、アプリによるペーパーレス検収で省力化が実現でき、需給マッチングシステムの活用で運送コストの低減と機動的なマッチングが可能となります。

森林のはたらきと役割

 森林は、木材生産のほか、渇水や洪水を緩和する水源かんよう機能、山地災害の防止機能、二酸化炭素の吸収・貯蔵や騒音防止などの生活環境の保全機能、レクリエーションや自然環境教育の場、野鳥の生息の場などの保健文化機能なと多面的な機能を持っています。

水源かん養機能

森林の表土は、落葉・落枝などが堆積してスポンジのようになっています。このため、雨水を貯留し、河川へ流入する水量の平準化や安定化をする機能を持っています。雨水が森林土壌を通過するとき、水を濾過したり浄化しています。また、岩石の間を通ることによりミネラルを含んでいます。

土砂災害防止機能

森林は、樹木や草、落枝・落葉などによって地表が覆われているため、降雨などによる土壌の浸食や流出を抑制しています。また、樹木が根を張ることによって土砂の崩壊を防いでいます。



地球環境保全

森林は、地球温暖化の原因である二酸化炭素を吸収・貯蔵しています。森林の吸収量は、樹種や林齢などにより異なりますが、スギ人工林(50年生)では、1本当たり1年間に約3.8kg(二酸化炭素約14kg)を吸収しています。人間1人が呼吸により排出する二酸化炭素は年間約320kgですから、約スギ23本の年間吸収量と同じになります。また、森林は、二酸化炭素の吸収や蒸発散作用により、地球規模で自然環境を調節しています。

二酸化炭素吸収

森林は光合成により二酸化炭素を吸収し、炭素を固定して、地球の温暖化防止に重要な役割を果たしています。日本の森林が、 光合成によって吸収する二酸化炭素は年間約1億トンで、これは我が国の二酸化炭素排出量の8%、国内の全自家用乗用車の排出する量の7割に相当します。




化石燃料代替エネルギー

住宅1棟(床面積136平方メートル)を建設する時に必要な材料の製造に必要なエネルギー消費から、放出される炭素の量を試算すると、木造住宅は鉄骨プレハブ造、RC造住宅のそれぞれ1/3、1/4倍の炭素放出量です。






生物多様性保全

森林には美しい景観をはじめ、川のせせらぎや小鳥のさえずり等の音、すがすがしい香り、木の実やきのこなどの味覚など、人の五感を通じて快適に感じさせてくれる働きがあります。そのため森林はレクリエーション活動や教育の場として活用していくことへの期待が高まっています。また、多様な野生生物が生息する場として重要な役割を果たしています。
我が国の森林は、約200種の鳥類、2万種の昆虫類をはじめとする野生動植物の生息・生育の場となっています。 このように、森林は、遺伝子や生物種、生態系を保全するという、根源的な機能を持っています。

快適環境形成機能

森林は蒸発散作用等により気候を緩和するとともに、防風や防音、樹木の樹冠による塵埃の吸着、いわゆるヒートアイランド現象の緩和などにより、快適な環境形成に寄与しています。

保健・レクリエーション機能

森林は、フィトンチッドに代表される樹木からの揮発性物質により直接的な健康増進効果が得られるほか、行楽やスポーツの場を提供しています。

文化機能

森林のランドスケープ(景観)は、行楽や芸術の対象として人々に感動を与えるほか、伝統文化伝承の基盤として日本人の自然観の形成に大きく関わっています。また、森林環境教育や体験学習の場としての役割を果たしています。

物質生産機能

森林は環境に優しい資材である木材の生産のほか、各種の抽出成分、きのこなどを提供しています。

ドローンパイロット養成

ドローンスクール運営

DX化コンサルティング

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